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東野圭吾の「手紙」

「秘密」「GAME」「レイクサイド」。東野圭吾さん原作の映画は大体見てます。ミステリーとひとくくり出来ないようなものばかりです。「秘密」は原作も読みましたがラストは原作の方が数段いい出来でした。とはいうものの、どれも楽しめる出来の良い映画と思います。これはきっと原作が映像化しやすい、細部や伏線をきちんと描いている小説だからでしょう。

B000hwy2oq09 そこで今回の「手紙」です。山田孝之、沢尻エリカ、主演。この若い二人が社会派の重たいテーマの映画をどう演じ、どう表現するか、興味のあったところです。

弟を大学へやりたいがために家に忍び込み、誤って殺人を犯してしまった兄を持つ直貴(山田)。直貴を密かに想う由美子(沢尻)。殺人者の家族ということで夢(お笑い芸人)も結婚もあきらめざるを得なかったことで直貴は心を閉ざします。「兄さえいなければ・・・。」そんな兄からは毎月手紙が送られてきます。まあ、こんな筋です。

結論からいうと、なかなか頑張ったんじゃないでしょうか?特に沢尻エリカは初の母親役に挑戦し、強い女性をうまく演じきっています。主人公の直貴が物に八つ当たりするのを眉ひとつ動かさず「それで気すんだんか!」と言うところなどは迫力ありました。最近の邦画を見ると、つくづく男はダメになったなぁ~と思います。というより母は強しということでしょうか?

(この後はほんのちょっぴり内容に触れてますのでご注意ください)

この映画には、いろんな立場の人間が出てきます。殺人者、殺人者の弟、被害者の息子、元受刑者。まだあります。本当の中心的な人物は、その者たちを取り囲む普通の人たち。つまり映画を観ている私たちなのです。終盤、被害者宅を訪れた直貴が被害者の息子から兄が送り続けてきた手紙と最後の手紙を見せられます。そして「もうこれで終わりにしよう。お互い長かった・・・」と言われます。この時、涙が出てきそうになるのですが「果たして自分なら許せるだろうか?」と考えてしまいます。

ラストもいいです。兄のいる刑務所に今は売れっ子になった元相棒と慰問へ行きます。兄は、その漫才を手を合わせ涙ながらに見ます。感動的なラストですが、ここで流れる小田和正の「言葉にできない」が少々違和感がありました。何故?この歌なのか?内容的に疑問符が付きます。この歌を流すなら最後、親子三人の後姿にかぶせて流したほうが良かったんじゃないでしょうか?ここまで泣かせる演出を控え、見るものに主人公の現実を淡々と描いてきただけに私は感心しませんでした。泣かせる映画ではなく、考えさせられる映画として幕を引いて欲しかったです。

罪を憎んで人を憎まず。本当にそんなことが出来るのでしょうか?自分にこのようなことが降りかかったとき、そこまで出来るんでしょうか?また、加害者の家族が自分たちの近辺にいたとき、差別せずに受け入れられるでしょうか?罪を償うとはどういうことなのでしょうか?刑を全うすることで果たされるのでしょうか?加害者の家族はどうすればいいのか?いろんなことを考えさせられました。答えは出ません。大変なテーマを持った映画です。

主人公は心を閉ざし、あらゆることを拒絶して生きていました。想いを寄せてくれている由美子をも遠ざけたんです。そんな彼がいきなり自分たちのファン朝美と意気投合し結婚まで考えるのは、あまりに唐突な気がしました。そして、その後に由美子を受け入れ「今度は俺が君を守る」と言います。主人公の心の変化がイマイチ分かりづらかったのは私だけでしょうか?

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コメント

こんばんは。「手紙」、読みました。いろいろ考えさせられる内容ですね。
「手紙」は犯罪者の家族が主人公ですが、同じ東野圭吾作品でも「白夜行」、「幻夜」は犯罪者が主人公で、主人公の立場が正反対なんですよね。
「手紙」では犯罪者となった主人公の兄は後悔していますが、「白夜行」、「幻夜」では犯罪を隠すために、また自己の利益の為に犯罪を重ねていく。
う~ん、考えちゃいますね。

投稿: ほえ~ | 2006年11月11日 (土) 01時56分

ほえ~さん、お久しぶりです。
東野圭吾いいですよね。多様なテーマをとりあげており名実共に一流です。
自転車ですが、乗ってはいるんですが乗るルートが同じなためブログに書くような出来事が無いんですよね。違うルートを開拓したら書こうかとは思っています。これからもよろしくお願いします。

投稿: kecchin | 2006年11月 5日 (日) 20時49分

ご無沙汰してます。
東野圭吾は僕も好きですが、最近は読んでませんねぇ。「手紙」もまだ読んでませんし。面白そうなので、読んでみようとは思っているんですけどね。
そういえば、最近は自転車の記事が少ない気がするのですが、乗られてますか?

投稿: ほえ~ | 2006年11月 5日 (日) 17時50分

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東野圭吾原作「手紙」の映画化。  →公式サイト この映画を観るきっかけとなったのは、テレビCM。 そう、挿入歌の小田和正「言葉にできない」だ。こ、この選曲は反則だ。 これは涙なくしては観れないだろうと決め付けて(笑)、期待して映画館へ足を運んだ。 世間の関心は低いのだろうか、座席はガラガラだった。日曜日の初回だったから、ということにしよう(^^; 【以下、ネタばれアリ】 工場で働く武島直貴(山田孝之)に好意を寄せる白石由美子(沢尻エリカ)。 しかし、直貴は目もくれない... [続きを読む]

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受信: 2006年11月 8日 (水) 12時51分

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